The 25th Jellicle

エビータ『バックステージツアー』

2010年12月15日(水) マチネ 京都劇場

《キャスト(敬称略)》
エビータ 秋夢子
チェ 芝清道
ペロン 佐野正幸
マガルディ 渋谷智也
ミストレス 高木美果
 
【男性アンサンブル】
菊池正 玉真義雄 平山信二 神永東吾
田島康成 佐久間仁 真田司 朝隈濯朗
中村厳 浜名正義 石野喜一 小野功司
光山優哉 大森瑞樹 渡久山慶 岩城雄太
 
【女性アンサンブル】
大村奈央 真優香 平田曜子 荒木美保
大橋里砂 加藤あゆ美 団こと葉 桜野あら
小川飛鳥 菜月ちな 山本志織 宝生慧
大槻純子 木許由梨



全体の流れは、以下の通り。

1)舞台監督の村井力さんからご挨拶と、今回の公演の舞台セット・演出の説明。
2)その後、グループごとに舞台を自由見学。
3)順番待ちの間、客席では質問コーナーが同時進行。

最初の舞台監督さんの説明と、質問コーナーの内容には結構繋がりがあったので、一緒にまとめます。

舞台監督さんの説明 / 質問コーナー

今回の公演は、全国公演用のセットを使用。
ただし、照明や幕など吊り物の一部は、ステイ公演用のものを使っている。
ステイ公演と違って、舞台の真ん中が盆になっていない。

舞台の傾斜は5度。
ちなみに『JCSエルサ』は7度で、最大傾斜部分は10度。
椅子やテーブルは、特に脚を傾斜には合わせているわけではなく、普通のものに脚の裏に滑り止めを付けているだけ。

『グッドナイト・サンキュー皆さん』の回転ドアは、ステイ公演では奈落からせり上がるようになっているが、全国公演では、奈落の無い劇場にも対応するため、キャスター付きで舞台上手から押して出すようになっている。
キャスターには、転がる方向が自在のものと、一定方向にしか転がらないものを使用。
2種類を使い分けることで、傾斜舞台で滑らずストップさせるブレーキの役割を果たしている。
回転してドアが変わる度に、ドアや周りの装飾が豪華になり、エバが男を踏み台にのし上がって行く過程を表している。
回転ドアの中には黒いカーテンが斜めに掛けられていて、後ろ(スタンバイしてる人)が見えないようになっている。
(最後に男達がドアから一斉に出てくるところ、全員が中でスタンバイしてるようなことを言われたけど、『CFY』の「ハイ! ボビー!」と同じような仕掛けなんじゃないかなぁと思ったり)

後ろの2つのウォールは、上手・下手それぞれ舞台スタッフ2人ずつによる手動。
ステイ公演ではレールの上をキャスターで動かすが、全国公演ではレールを使わず、キャスターだけで動かす。
素材はベニヤで、表面をウレタン加工。
ステイ公演と比べて軽量化されているので、1人で動かすことも可能。
レリーフはアルゼンチンの街並を表している。

『カサ・ロサーダのバルコニーで / 共にいてアルゼンチーナ』のバルコニーも手動。
舞台スタッフ2人がワイヤーを回している。
ステイ公演ではエバの他にペロンともう1人政治家(?)がバルコニーに乗るが、全国公演ではエバのみ。
頑丈に作られてはいるが、結構揺れて危険なので、上演前には舞台スタッフが毎回確認している。
このバルコニーが客席にせり出すことで、観客もアルゼンチン市民になるという演出。

床に仕込んである照明にはLEDを使用。
1マスに30本くらい仕込まれていて、全部で700本くらい。
特に『虹の如くに』と『虹の歴訪』での虹や国旗の表現は見所。

7年前(リニューアル前)は、黒を基調にパネルを使用した全体的に四角い舞台だった。
現在の白を基調とした丸い舞台とは対照的。
円形に特に意味はない。

『ニュー・アルゼンチーナ』のプラカードは、'10年1月の自由劇場での再演の際に、「シンプルに戻そう」ということで、スペイン語から日本語になった。
日本の政治の話題を絡ませる案もあり、実際にプラカードを作って稽古をしてみたが、『エビータ』の世界には合わなかったため、この案は取りやめになった。

『レクイエム』と『サンタ・エビータ』の、役者たちが持ってるロウソクは本物。
消えにくいようにガラスの筒で覆い、筒の下から空気が入るようになっている。

『レクイエム』の棺(含む人形)は、2人でも持てる重さで、40~50kgくらい。

『虹の歴訪』で使用している映像は本物で、海外の関係機関から取り寄せて編集したもの。
リニューアル前は映像ではなくスライドだった。
(開幕まであまり日が無い状況で、スライドから映像への変更が決定したので大変だったとか)

エバ以外の衣裳は、森英恵のデザインではなく、四季のスタッフによるデザイン。
エバの衣裳は10くらい。全部では150くらい。

『星降る今宵に』や『エバ最後の放送』で使われるマイクは、あくまで小道具なのでマイクの機能は無い。

最後の『エバのラメント』の花びらは、大きなトンボで舞台後ろへ落とす。
残ってしまったものは、役者に拾ってもらう。

歌い出しのきっかけは、音響ブースで緑と赤のライトを使って指示。

舞台監督さんが好きなシーンは『金はでてゆく 湯水のように』と、『飛躍に向かって』から『エリートのゲーム』への舞台転換。
ドキドキ・ハラハラするシーンは『グッドナイト・サンキュー皆さん』の回転ドアと、『カサ・ロサーダのバルコニーで / 共にいてアルゼンチーナ』のバルコニー。

照明さんのおススメの座席は、照明効果がよく分かる2階席センターブロック。
好きなシーンは『レクイエム』。

舞台見学

実際に舞台に上がってみたら、5度の傾斜はすごかった。
舞台奥へ行くのは「登る」感覚に近い。
役者の皆さん、何でこんな場所であんなにガンガン踊れるんだ。

回転ドアの中は、黒いカーテンが真ん中でクロスするようにかけられてた。
各ドアの脇には、そのドアから登場する時に履く靴が置いてあった。
「これ、秋さんが実際に履いてた靴ですか!?」と言って、靴のニオイを嗅いでるお客さん(女性)が居て、舞台スタッフさんが大ウケしてた。(笑)

ウォールの裏側に回ってみると、重厚な見た目とは裏腹に、本当にベニヤ作りで薄いものだった。
「こんなんじゃ壁には上れないわな」と納得。(階段は完全に飾り状態)
足下には、シーンごとのウォールを動かす位置を示すバミリがたくさん貼ってあった。結構細かい。
ウォールの裏には動かす際の注意書きなんかも貼ってあった。
ウォールを動かした時に出来る、袖の隙間を埋めるための台(?)のところにスタッフさんがいらっしゃったので、「その台も手動なんですか?」と聞いてみたら、「そうです。手動です。ウォールの動きに合わせて動かします。落ちたら危ないですから」とのこと。

『星降る今宵に』で使われる酒瓶やグラス。(@下手袖)
瓶は割れにくいように透明のビニールテープでグルグル巻きされてた。
即行で『CFY』の酒瓶を思い出した。(←)
グラスはプラスチック製で、シェーカーは本物。

早替え部屋。(@下手袖)
エバの白いドレスが展示されてた。
そのそばには『チャリティ・コンサート』で着ていた毛皮がハンガーにかけられてた。
同伴した友人が、それを見て「ザングラーさん(@CFY)っぽい」と。
言われてみればホントだ! 確かにザングラーさんっぽい!(笑)
……もうザングラーさんの毛皮にしか見えない。丈が違うけど。

ミストレスのスーツケース。(@下手袖)
スーツケースと雑誌と人形と……他にも何かあったはずだけど忘れてしまった。(曖昧な記憶)
雑誌は情報誌だかファッション誌だか、女性向きのもの。
そんな雑誌を見てる割りに、人形はかなり子供向けなデザイン。
ミストレスってどういうキャラ設定なの。

手持ちではなく設置用のロウソク。(@下手袖)
ちょうどスタッフさんがそばにいらっしゃったので、「役者さんの手持ちのロウソクは本物だそうですが、そのロウソクは電気ですよね?」と聞いてみたら、「そうです。ロウソクの先端に小さな電球が仕込んであります」とのこと。
そりゃそうだよな。これだけの数、1つずつ火をつけてる暇なんか無いよな。

懐中時計、新聞、軍人たちが踏み台にしてた白い台、プラカードとかも下手袖に置いてあった。
他にも色々置いてあったんだろうけど、とりあえず記憶に残ってるのはこれだけ。

棺の中の人形。(@上手袖)
(エバ役だった)野村玲子さんに似せて作ってあるとのこと。
ビックリするくらいそっくりで、ものっそいリアル。
ちょっと怖い……。

上手袖は時間切れでほとんど見れなかった……。orz


今回の公演が全国公演仕様と知った時は、ちょっとショックでした。
どうりで石畳は狭いし、石段は無いし、盆は回らないし、壁に上らないわけです。
あの傾斜のある盆を使った演出が面白かったのになぁ……。
どうして全国公演仕様にする必要があったんでしょうか。

全体的には悪くはなかったのに、何かモヤモヤ感が残る今回の京都『エビータ』でした。
やっぱりステイ公演仕様で観たかったなぁぁ。



以上、お読み頂きありがとうございました。

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